ブックタイトル高知大学KICS年報

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高知大学KICS年報

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高知大学KICS年報

特集3 |地方創生に対する大学の貢献基調講演日本創成会議座長株式会社野村総合研究所顧問増田寛也さんこれからは大学の役割が極めて重要になる先ほど来、皆様のご挨拶の中で「地方創生」のお話が出ておりますけれども、私も1995年から2007年まで12年間、岩手県知事として地方の厳しい状況と向き合って参りました。退任から8年が経ちますが、さらに地域経済の厳しい状況は加速しています。この地域の経済の衰退と疲弊の大きな問題の1つは「人口減少」。特に若い世代がどんどん外に出て行くいわゆる社会移動による人口減少が非常に大きく関係しているのではないかと思います。それからもう1つは、この社会移動の結果による東京への一極集中。人の流れだけではなく金の流れ、そしてさまざまな機能もどんどん東京に集まって来ていますが、このまま続けて行ってよいのかどうか。ここが問われているのではないかと思います。そういう思いもあって、2010年の国勢調査の実績値をもとに推計して、このままでは2040年には896自治体が消滅する可能性を持っているという数字を昨年出しました。経済的に全国津々浦々にアベノミクスということではなくて、もっとその先に深い原因があるということを安倍首相にもきちんと理解して貰わないといけないということでありました。岩手県は8割の自治体がこれに該当しますし、高知県内でももちろん、これに該当するところが多いのですが、東京23区でも池袋がある豊島区がこれに該当します。地方だけの問題ではなく、もう東京の足元からもそういう状況まで来ています。究極的には「地域で生まれ、学び、育ち、そして地域で一生を終えるという新しい生き方をこれからつくっていく」というところまで取り組んで、そして結果を出していかなければなりません。それを前提に、これからどういうふうに地域を動かして行くのか。これからは大学の役割が極めて重要になってくると思います。従来のカタチの大学というよりも、もっと地域に目を向けた大学でなければいけません。先ほど、塩見みづ枝文部科学省高等教育局大学振興課長のほうから文部科学省として地方創生にCOCをプラスしていくというお話がありました。今日お集まりになっている皆さん方のそれぞれの大学で今やろうとしていることを国として進めていこうということがはっきりしているわけですから、これから地方創生、地域で新しい仕事をつくっていくことに自信を持って頑張っていただきたいと思います。地方創生と人口減、東京一極集中は密接な関係にある現在、私は「まち・ひと・しごと創生会議」のメンバーの一人でもありますが、地方創生に関しては昨年末の第4回会議で、2060年までの長期ビジョンと、それを実現していく上で5カ年ごとに総合戦略を作っていくことが閣議決定されました。そして中長期のKochi university Inside Community System | Annual report 2014 | 19